Gusti e sapori del Giappone a Milano 8-10 Nov. 2013 のご報告 日本食文化を世界へ向けて 去る2013年11月4日~15日まで、イタリアのミラノで開催された 農水省主催の日本食・日本食文化フェスティバルでは、食関係者へ向けた レセプションパーティーの場だけではなく、一般生活者へ向けて、イタリ ア人にとって生活の一部となっているバールでの、日本食材と日本酒の紹 介など、イタリア人の生活シーンに日本食文化をどのように落とし込んで いくことができるか、という具体的な試みがあり、食スタイルに対するコ ンサバ志向の強いイタリア食マーケットへの、一歩踏み込んだイベントでした。 ◆関係者の日本酒への反応◆ 開会前より、日本酒コーナーに列ができるほどの盛況ぶりでしたが、 パリやロンドンに比べると、ミラノのインテリ層や食関係者における、 日本酒飲用に関する本格的な体験や知識などは、まだまだこれから、 という感じです。 高級な純米大吟醸酒ばかりではなく、味のバラエティを求めている のは、 13年前と同じ状況でした。 ◆日本食材で作るイタリアン◆ カルロ・クラッコシェフ(ミシュラン2つ星「クラッコ」) による、雲丹とコーヒー入り焼き味噌クリーム、胡麻と 干し柿とマスカルポーネの雲の2品ほか、現地の日本食 レストランが提供する、アミューズが数多くサービス されました。日本食材を使った、 シェフ提案のメニューは、 珍しい料理、という関係者たちの反応で、それを日本酒と 合わせて、ペアリングを楽しむ、ということをしている人は、 ほとんどいませんでした。 ◆ちょい悪オトコにとって、クールな巻きずし◆ 現在ミラノには、寿司レストランが約63店舗ありますが、そのなかで日本人経営のお店は、5店舗だけです。市内に、日本食材専門店は一店もなく、アジア食品店に日本食材コーナーがあるという現状にもかかわらず、 ミラノ在住のちょい悪オトコたちの間では、週末に家で日本食を作って恋人や友達にふるまう、というのがとてもクールなことで、ブームとなっている そうです。 今回のイベントのなかでも、巻きずし講習会の参加者の半分は、男性。デモストレーションへの参加も、女性よりも圧倒的に男性が積極的でした。 ひと昔前と違い、寿司、天ぷら以外の本物の日本食や食材、日本人が普段食べているものへの強い関心を感じました。情報は溢れているけれど、実際には、モノが流通していない、というのがミラノの現状ではないかと 思われます。 日本酒の値段<高級フージョンレストラン> 純米酒:60ml 7~10ユーロ, 200ml 20ユーロ, 500ml 38ユーロ(冷、燗、ロックで値段が違う。) ◆イタリアスローフード協会との関係◆ 今回私は、スローフード協会のパウロ・ディ・クローチェ氏との(スローフード・インターナショナル事務局長)パネルディスカッションのなかで両国の食文化がどのような影響を与えあっていく可能性があるかについて話し合いました。 パウロ氏のスタンスは、あくまでも自国の食文化の伝統を守り、継承していくということが最も重要なことであり、食のグローバル化のなかで、他国の食文化から何を学び、何を取 り入れていくべきか、ということについては、非常に慎重に 考えていく必要がある、との意見でした。 ◆バールでの日本酒セット◆ ミラノ市内8ヶ所のバールやレストランで展開された、アペリティーボのイベントは、普段は日本食レストランでしか飲むことができない日本酒を、自分たちにとって、身近なバールやレストランで飲むことができるということで、大きな反響がありました。高級食材店PECKのバールでは、2種の日本酒を、お店側で4種類のカクテルにし、 日本食材を、3種のアミューズにし、カクテル1杯+カクテルに使ったお酒をミニグラスに一杯+アミューズ3種のセットを、11ユーロで一日100セット限定で販売。バールのマネージャーに話を聞いたところ、金曜日の夜は、このスペシャルセットが飛ぶように売れ、あっという間に完売したとのこと。日本酒の人気はすごい、とのコメントをもらいました。 私が飲んだカクテルの味は、純米大吟醸をベースにオレンジジュースとグリーンティーリキュールで作ったと思われる<Geetha>という名のものですが、ジュースのようで 口当たりがよく、大変飲みやすいものでした。 ただし、日本酒の味は、まったく感じられなかったのですが、このセットには、ミニグラスにカクテルに使った日本酒がついてくるので、まずは口当たりのよさを 優先したカクテルレシピで、日本酒に関心をもってもらう という方法は、イタリアンバールでの日本酒プロモーションとして、とても自然なアプローチ方法で、効果が期待できると感じました。 ◆2015 ミラノ万博へ向けて◆ 日本食材への熱が高まっている今、2015年のミラノ万博を 視野にいれた、市場獲得のチャンスがあると考えます。 ミラノでの日本食文化へ対する関心の高まりを追い風に、 万博の時には、ミラノ市内に全国各地の日本酒と特産品を扱う、<Japan Local Foods &Sake Bar>を開設し、イタリア人の ライフスタイルにとって重要なアペリティーボのメニューの なかに、日本酒を是非取り込んでいきたいと思っています。 2013年11月26日 日本酒と楽しむイタリアンの会 代表:手島 麻記子 Tweet 日本食文化を世界へ向けて